第9回淡水ガメ情報交換会開催(報告)
2023年3月18日から19日にかけて、神戸市の外来生物展示センターにて、第9回淡水ガメ情報交換会を開催いたしました。2日間にのべ174名の方々にご参加いただきました。また今回初めてオンライン配信も行い、視聴回数は440回でした。多くの方にご参加いただきましたことを改めまして御礼申し上げます。
今回は、これまで在来種と考えられてきた外来種について考えるをテーマに特別シンポジウムを開催しました。このような外来種としては、亀の世界ではクサガメが、魚類の世界ではコイが該当します。特別講演では、コイ研究の権威である馬渕氏を招き、「日本列島におけるコイの起源 どうする外来コイ」というタイトルでご講演いただきました。加えて、コーディネーターとして、クサガメ外来種説を約10年前に唱えた鈴木氏もお招きしました。コイに関する最新の研究や現状を知ることができただけでなく、異なる分類群の視点を踏まえて、クサガメ問題について有意義な議論をすることができたと考えいます。まだまだモヤモヤするという方もいらっしゃるかとは思いますが、クサガメに関する対策を、少なくともニホンイシガメの保全の観点からは、考えていこうという方向性は示せたのではと満足しています。引き続きこのような議論の場を設けていきたいと思っています。
また、各地からの発表においては、今回、日本固有種ニホンイシガメ、特に繁殖の取り組みに関する内容が多くみられました。こういった発表に関して、ニホンイシガメの保全のためにいつかは必要な知見なのかもしれないが、生息地保全や外来種対策がまず先ではないか、という意見が多くみられました。発表を通して、ニホンイシガメの強力な捕食者となっている外来種アライグマに対して、我々は今後どう対策をとっていくべきなのか、ということを改めて考える機会になったのではないかと思います。
次回、第10回目は、麻布大学で冬ごろ開催予定です。